「笑ゥせぇるすまん」が持つ怖さの本質

人は皆、何がしかのレールに乗って生きている。
多少の不安や不満をのぞけば、
そのレールに乗って毎日、毎日、生きている。

これは、そんな人たちを主人公について描かれた、
漫画、アニメ版「笑ゥせぇるすまん」に関する考察である。

喪黒福造

昭和のオカルト・ブームの時代「魔太郎がくる!!」
という悪魔のような少年を主人公にした漫画があった。

藤子不二雄Aによるホラーものだ。

主人公の魔太郎は、今でいう連続〇人通り魔のように心に闇をかかえた少年だ。
時代の変化と共に、この魔太郎は具現化され風化してく。

しかし、もっと以前に藤子不二雄Aは、
違うタイプの怪人を1968年短編「黒ィせぇるすまん」として誕生させていたのだ。

「喪黒福造」という小太りのサラリーマン「笑ゥせぇるすまん」である。

バブル期にアニメ化されヒット
原作も「笑ゥせぇるすまん」として連載されている。
作品は世のサラリーマン諸氏をターゲットに人気を博した。

笑ゥせぇるすまんの主人公は毎回変わる

喪黒福造の客

これは、毎回、違う主人公を軸に「喪黒福造」に魂を売り渡した者たちが辿る、
事の顛末を最後に喪黒がニヒリスティックな言葉で締めるという、
不気味な落ちで終わるものだ。後味が悪い。

他人の不幸は蜜の味などというが、これは本当に後味が悪い。
喪黒は主人公からは一切の報酬を拒む。
そのかわり「私の助言をききなさい」と確約させるのだ。

金さえあれば、何でもできたというバブル期に、
アニメ「笑ゥせぇるすまん」は何か警鐘めいたものを感じさせた。

その不二雄Aの作品は、相方・不二雄Fの不朽の名作、
「ドラえもん」と真逆である。

何でも叶えてくれるが、そのあとは知らない。
という大人のシビアな世界を描いている。

喪黒福造の報酬は人間の性

ココロのスキマ

まるで、アダムとイヴがリンゴの味を知ってしまったように、
パンドラの箱を開けてしまった人間の性も描いている。
性悪説である。

彼の与えてくれる楽園はとても魅力に満ちている。
が、視聴者は主人公がやがて碌なことにならないことを分かっていて、
ストーリーにのめりこむ。

喪黒の言いつけを守らない主人公たちは、
取り返しのつかない人生を歩みだす。

少しばかりの夢を見たがった主人公たちに結果、罰を与えていくことになる。

彼は「心のスキマ♡お埋めします」と宣い、
逆にスキマは広がっていく。

魔の巣というスナックに入り浸っている事を除けば、喪黒の正体は不明である。

作品は時にユーモラスに、その黒い笑いと共に主人公を喜々とさせる。
超エリートサラリーマン、愛犬家、古書マニア、主人公は、各回多岐にわたる。
無差別である。

生まれ持っての罪は、誰にでもあると言いたげに。

エリートサラリーマンは幼児帰りして精神を破たんさせ、
愛犬家は人間になった犬と住み続け、
古書マニアは詐欺まがいの事件を起こしてしまう。

この作品の怖いところは「その罪はすべて主人公にある」という設定だ。

そして福造は人助けと言わんばかりに、
その罪を無償で売り続ける。

彼は常に笑っている。

喪黒という名のとおり、すべてを廃人の道へ誘い喪に服すのだ。
死より辛い無間地獄へ。

これも「藤子不二雄A」特有のブラックユーモアなのだろうか。
このアニメ作品は、かなり続いた。

2017年、今春、笑うセールスマンの新作が出るという話しもある・・。
だが、この作品、毎回すっきりさせてはくれないのだ。

その結末とともに・・・・・。


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